シャバーサナって睡眠とは違う?意味と効果を知って最高のリラックスを!

リラックスした子供

ヨガレッスンの最後に必ず出てくる“シャバーサナ”。
ただ仰向けになり、ひたすらリラックスするポーズです。

レッスンの途中で少しきついポーズに遭遇しても、最後のシャバーサナのために頑張れる…!という人もいらっしゃるのではないでしょうか。
ご褒美のように毎回最後に出てくるシャバーサナですが、なぜ毎回行なうのかご存じですか?
ただお休みしているだけのポーズ、眠る時間だと思っているともったいない!
非常にシンプルだけど奥が深く、「もっとも難しいアーサナ(ポーズ)」ともいわれるシャバーサナの意味、効果について深堀りしていきましょう。

シャバーサナの意味

暗闇のキャンドル

シャバーサナはサンスクリット語です。
シャバ=屍(しかばね)、アーサナ=体位なので、シャバーサナは屍のポーズという意味になります。

文字通り、屍のように仰向けになり静止するポーズです。
ヨガのポーズには自然や動物を模したものが多くありますが、様々なものの真似をしてそれらから学び、最後は屍になって、また新しい自分として起き上がる。
マットの上で色んな人生を生き、シャバーサナで屍となり、起き上がって再生…つまりヨガの練習はこの死と再生の繰り返し、輪廻転生の考えを表しているものといえます。

シャバーサナと睡眠の違い

昼寝する女性

シャバーサナと睡眠は、まったくの別物です。シャバーサナは身体はおやすみしているけど意識は明晰なので記憶がありますが、睡眠は身体も意識もおやすみしているので記憶がありません。

この体は完全にリラックスし緩んでいるのに、意識は非常に明晰”という状態は、日常の中ではなかなか体験できないので、最初は少し不思議に感じるかもしれません。睡眠とはまったく違い、とてもクリアで、小さな穴に一定のペースで細く水を注ぎ続けるような完璧な集中力が保たれます。

例えばプロのスポーツ選手は試合のとき、ものすごく集中しているのにリラックスした状態を保っている方が多いですよね。集中しようと頑張って、心も体もこわばっているいる状態とは明らかに違います。

眠ってしまうときは、シャバーサナの時間に睡眠が必要なほどに疲れているということなので、ぜひ日常でも意図的に休息をとってあげてください。「眠る時間だ!」と思って取り組むのと、「意図を持って練習していたけど、思わず眠ってしまった」のには、大きな差が生まれます。

シャバーサナの効果

シャバーサナの効果はたくさんありますが、ここでは私が練習を続けてきた中で実際に感じられているものを紹介していきます。

無意識のこわばりを緩ませる

シャバーサナを練習するとき、インストラクターはよりリラックスできるようにガイドしていきます。
「ガイドがなくても仰向けになればリラックスできる」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、無意識のうちに体がこわばっていることはよくあります。
ガイドに導かれて体の細部に順に意識を向けると、ぎゅっと力が入っている部分があることに気づきます。それをひとつずつ解放していくことで、より深くリラックスした状態に入ることができるのです。

また、無意識のうちに力みやすい部分を知り解放できるようになると、毎日の睡眠の質も向上します。「10分のシャバーサナは数時間の睡眠と同程度の効果がある」といわれるほどリラックス効果が高いので、ぜひ丁寧に練習してくださいね。

全体のバランスを整える

一般的なヨガレッスンでは、前半に立位を中心とした心身を活性化させる練習をし、後半に坐位や仰向けを中心とした心身を鎮静化させる練習をします。前半にポーズを洗練させるため夢中で練習したときこそ、後半はクールダウンにしっかり取り組むなど、全体のバランスを整える必要があります。
レッスンの最後にその全体の調整をしてくれるのが、このシャバーサナです。

では、活性化させるポーズとセットでしかシャバーサナをしてはいけないのかというと、もちろんそんなことはありません。
レッスンという小さなスパンではなく、もっと大きなスパン(1日、1ヵ月、1年など)でご自身のバランスを見たとき、自分に足りていないのが休息や鎮静だと思ったときは、シャバーサナの練習だけをしてもいいのです。忙しい毎日を頑張って生きている私たちにとっては、シャバーサナはいつでも必要なポーズと言えるかもしれません。

客観的に自分を観察できるようになる

シャバーサナは“自分を観察しているもう一人の自分に気づく”という体験がしやすいポーズです。
自分を観察することはもちろんすべてのポーズで可能なのですが、体を動かすポーズではどうしてもインストラクターや隣で練習している人が気になり、自分に意識を向けるのがシャバーサナに比べると難しくなります。

シャバーサナは目を閉じるので周りに気を取られることがなくなり、体を動かさないので「これで合ってるのかな?」という不安から外側を見る必要もないので、より自分に集中しやすくなるのです。ぜひ、レッスン前の自分との違いを感じてみてください。

自分を客観的に観察することは、日常でも非常に役立ちます。
例えば仕事中にイラっとしたとき「私は今イラっとしているな」と客観的な目線でそれに気づくだけで、“私”と“感情”は別物であることがわかり、冷静になります。ヨガとは、“感情”や“体”は本来の自分ではなく、それを観察している視点が自分の本質だとわかることで、心身のコントロールしていく力を養っていくものなのです。

シャバーサナも意図を持って練習しよう

自分にとって難しいポーズを練習するとき、「昨日より何かしら進歩させよう」と意図を持って取り組みますよね。練習し慣れたポーズであっても、「よりこの部分を洗練させたいと」思って取り組むはずです。
シャバーサナも他のポーズと同じように、意図を持ち洗練させようと取り組むことで、より深い恩恵を受け取ることができます。

しかし、仰向けになればすぐに紹介したような効果が感じられるかというと、そうでないこともあるでしょう。他のポーズと同じように、何度も何度も繰り返しの練習が必要です。最初は「寝る時間だ!」と思って眠ってしまったり、周りが静かすぎて他人のことが気になり目を開けてしまったり、集中できないことがあるかもしれません。自分にはよくわからないやと諦めずに、根気よく練習してこの状態を理解していきましょう。

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