ヨガで免疫力を高める!ウィルスや病気にかからない体づくり

世の中には食事やサプリなど、“免疫力を上げる○○”が溢れていますが、ヨガにもその効果があることはご存じですか?

もちろん食事やサプリを取り入れて免疫力を上げることもできますが、これは下がった免疫力を元に戻す、つまりマイナスをゼロに戻すようなアプローチです。ヨガで免疫力を上げるということは、そもそも免疫力が下がらない体を作ること、つまりマイナスにならないようにメンテナンスすることです。

この記事では、どのようにヨガの実践をすれば免疫力が上がるのかを丁寧に解説していきます。

免疫とは、体の防御システム

免疫とは、読んで字のごとく疫(えき。流行性の病気や伝染病)を免(まぬが)れる」こと。体の中にウィルスや病原体などの異物が入ってきたと認識すると、それを攻撃してやっつけるのが免疫システムです。

代表的なものに白血球がありますが、これは血液の中に存在するもので、異物が体内に入るとその周りに集まってきて、みんなで総攻撃を仕掛けるシステムです。その他にも、鼻腔には線毛という蠕動(ぜんどう)運動をする非常に細かな毛があって、異物が体の中に入らないように鼻の外に追い出す機能があったり、万が一ここをくぐりぬけて異物が体内に入ってしまったとしても胃酸がそれを攻撃したり、腸にあるたくさんの免疫細胞が攻撃してくれて、私たちの体を守ってくれています。

このように体には何重もの免疫システムが張り巡らされており、正常に稼働してさえいれば、毎日発生するがん細胞をやっつけてくれるほど強く頼れる存在なのです。しかし、過度なストレスや自律神経の乱れなどにより、この免疫システムが正常に稼働しなくなってしまうと、ウィルスや病原体が体の中で増殖してしまい、病気や不調をもたらすのです。

ヨガを実践することで免疫力があがる理由

ヨガを実践することで免疫力があがる理由はたくさんあります。ここではひとつずつそれを解説していきます。

基礎体温が上がる

チャトランガ・ダンダーサナ

体温が上がると、免疫力が上がります。平熱が高めということは体の巡りが良いので、免疫システムも滞りなく働いている状態といえます。

体の中でもっとも熱を生み出すことができる器官は“筋肉”です。専門的な説明をすると、筋肉内にあるミトコンドリアが酸素と結びつくことでエネルギーを生み出し、それが原動力となって力(筋)が発揮されます。ミトコンドリアがエネルギーを産生する過程で、熱が生まれるのです。

ヨガの立位のポーズは大きな筋肉を活性化するので、筋力が強化されます。すると筋肉の中のミトコンドリアの量が増えます。ミトコンドリアの量が増えるということは、産生できる熱量も上がるということ。つまり基礎体温が上がります。

ちなみに私はヨガを始める前、運動不足の自覚があり平熱は35.7度前後でした。ヨガを始めてから10年ほど経ちますが、現在は36.5度前後になりました。昔はよく風邪を引いたり、何だか不調…という日が多かったですが、今はほとんど風邪もひかず体調も崩さなくなりました。

自律神経が整う

免疫システムを司っているのは自律神経です。夜やリラックスモードのとき、体を回復させる副交感神経が優位になります。この状態のときに免疫システムが働くので、神経を興奮状態にするような活動を夜は控え、リラックスすることが大切です。

深い呼吸に合わせて背骨を色々な方向に動かすヨガは、自律神経を整えるのにとても効果的です。ヨガと自律神経の関係の記事で、副交感神経を優位にしたいときにオススメのヨガポーズも動画で紹介しているので、参考にしてください。

ストレス解消になる

適切なストレスは、モチベーションを保つことや成長に必要ですが、過度なストレスは心身を蝕んでいきます。ストレスを溜め過ぎると免疫システムが正常に働きにくくなってしまうので、ストレスを溜めないことが大切です。

ヨガはストレスを解消する優れた手段のひとつです。自分の呼吸と体に意識を向けることで、自分を大切に扱っているという意識が生まれ、ストレスがかかり無理をさせた心身を癒す効果があります。また、しっかり体を動かした後にシャバーサナをすることで、高いリラックス効果が得られ、ストレスを手放すことができます(シャバーサナに関する記事はこちら)。

ストレスを発散する手段はたくさんあると思いますが、暴飲暴食や衝動買いなどの一時的な快楽をもたらすものは、後からさらにストレスを生むのでなるべく避ける方がよいでしょう。おすすめはヨガの他、自然に触れる、好きなアロマを炊く、ゆっくりとお風呂に浸かる、笑うなど。欲望を満足させることではなく、自分を整える方法を選びましょう。

脳を休ませることができる

瞑想する女性

人間の脳は、一日に数万もの思考が浮かんでくるといわれています。1分ほど目を閉じて座ってみると、頭の中のおしゃべりがうるさくて驚いたことはありませんか?

このように人間の脳は絶えず何かを思考していて休まることがないため、肉体と同様、脳も疲れていきます。脳が疲れると、体への指示出しが散漫になり、免疫力にも影響が及びます。ですから体同様、脳もリラックスさせ休息を与えることが必要です。

ヨガは“今、この瞬間の呼吸と体に集中”することで、過去や未来に瞬時に飛びながら支離滅裂な思考をする脳の働きを、少しずつ穏やかにしていきます。うるさかった頭の中のおしゃべりが、ヨガをすることによって、だんだんと静まっていくのです。このように意識的に脳を休ませることにより、体への指示出しに滞りをなくすことができます。

免疫力を高めるヨガのポーズと呼吸法

免疫力アップにおすすめの呼吸法とヨガのポーズを3本の動画で紹介します。

心身をしっかり活性化させて体温を上げてから、優しい動きと深い呼吸で深いリラックス状態へ向かい、最後は体と脳を休めるシャバーサナを行ないましょう。

心身を活性化させる呼吸法“カパラバティ”

呼吸とポーズを合わせて動く“太陽礼拝”

自律神経を整える“リラックスヨガ”

コロナで再認識された免疫の重要性

2020年に発生したパンデミックによって、免疫の重要性が再認識されています。同じ環境に身を置いても、感染する人としない人がいますし、罹患してしまったとしても、軽症で済む人と重症化する人がいるのです。

この違いがなぜ起こるのかは世界中の科学者が研究中ですが、他の病気と同様、健康的な生活を送っている人、つまり免疫力の高い人ほど重症化のリスクが低いことは明らかです。

自分の免疫システムを正常に稼働させておくことは、コロナの時代にとって非常に大切です。免疫は、病気にかからないように防御する力でもあるし、病気にかかってしまったらそれを早く治す力でもあります。「人生100年」といわれる現代において、長く健康な心身を保つためには不可欠なシステムなのです。

ヨガで心身を整えて免疫力を上げ、健康的な毎日を過ごしていきましょう。

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