「とても疲れているのになぜか眠れない」という経験をしたことはありませんか?
疲れているし明日も早いから眠りたいのに、「寝なければ」と思えば思うほど眠れない…
そんなときにはこの記事で紹介する安眠ヨガポーズと呼吸法を取り入れてみてはいかがでしょうか?眠れないときや、睡眠の質を高めたいときにオススメのポーズと呼吸法を8つ紹介していきます。
この記事の目次
疲れているのに眠れないのはなぜか?
ポーズと呼吸法の紹介に入る前に、「疲れているのに眠れない」のはどんなメカニズムなのか見ていきましょう。
私たちの体には“体内時計“が備わっていて、明るくなれば朝、暗くなれば夜と認識します。しかし文明の発達した現代では夜になってもどこに行っても当たり前のように明るいです。つまり夜なのに暗くないので、「今は夜だ」という認識ができないため、寝るモードになりにくいのです。テレビやスマホを寝る直前まで見たり、深夜まで残業してパソコンの前にいるなどの生活習慣が、心身を興奮状態にする“交感神経”を優位に保ち続けてしまうのです。
本来であれば夜に暗くなると、自然と心身をリラックス状態にする“副交感神経”が優位になるので眠くなるのですが、現代ではその切り替えが難しいため、疲れているのに眠れないということが起きてしまうのです。
自律神経に関する詳しい記事はこちらをご覧ください。
副交感神経を優位にするのは“深い呼吸”
呼吸と自律神経はとても密接に結びついています。
深くゆったりした呼吸を腹式で行ない、吸う息よりも吐く息を長くすることで、副交感神経を優位にすることができるのです。
交感神経を優位にする呼吸 | 副交感神経を優位にする呼吸 |
胸式呼吸 | 腹式呼吸 |
吸う息を長くする | 吐く息を長くする |
浅く早い呼吸 | 深くゆったりした呼吸 |
安眠できる!おすすめの呼吸法
どんな呼吸が副交感神経を優位にするかがわかったら、実際に安眠効果のある呼吸法を見ていきましょう。
呼吸法を行なうときは、頭で「深い呼吸をしよう」と考えてコントロールすると息苦しくなることがあります。一気に吸わなくていいので、細く長く呼吸をしてみましょう。息の吸い始めから吸い終わり、吐き始めから吐き終わりまでを、一定の強さになるように意識してみてください。
腹式呼吸
【やり方】
- 仰向けに寝ます。膝は伸ばしても立ててもいいです。
- 両手はおなかの上に重ねて、肘を床に下ろします。
- 自然な鼻呼吸で、腹式呼吸を行ないます。吸うときにおなかを膨らませ、吐くときにおなかを薄くします。
- 慣れてきたら、ゆっくり4数える間に息を吸って、8数える間に息を吐きます。
- 1~5分程度続けましょう。
必ずしも4で吸って8で吐くカウントでなくてもいいですが、たとえば2で吸って4で吐くなど、吐く息は吸う息の2倍の長さになるようにしましょう。
チャンドラ・ベーダナ(月の呼吸)
右の鼻孔は太陽のエネルギー、左の鼻孔は月のエネルギーと関連しています。太陽は熱く活性化するエネルギー、月は冷たく落ち着かせるエネルギーです。チャンドラ・ベーダナは左の鼻孔から吸って、右の鼻孔から吐く呼吸法です。これを繰り返すことによって月のエネルギーが優位になり、落ち着きが得られます。
【やり方】
- 落ち着く坐法で座ります。
- 右手の人差し指と中指を折り曲げて“ヴィシュヌムドラー”を作ります。
- 親指で右鼻、薬指と小指で左鼻に触れます。
- 右鼻を閉じて、左鼻から息を吸います(写真①)
- 左鼻を閉じて、右鼻から息を吐きます(写真②)
- 4と5を繰り返します(1~3分程度)
安眠できる!おすすめのヨガポーズ
呼吸が深くゆったりになってきたら、ヨガのポーズを行なっていきます。寝る前におすすめなのは、前屈とやさしいツイストのポーズです。
前屈は体を前に倒すので、外の世界が視覚的に見えなくなります。
起きている間はほとんどの時間、意識は外側に向いていますが、前屈をすることで自然と意識が自分の内側に向いてきます。その結果、落ち着きを取り戻すことができるのです。
ツイストは背骨をねじるので、背中をゆるめたり優しく胸をひらく効果があります。上半身がほぐれていると深い呼吸がしやすくなるのです。
背中をゆるめる“マリーチアーサナA”
【やり方】
- 両足を伸ばして座ります。
- 左膝を立て、左肘を膝の内側に添えます。
- 右手はおしりの後ろにつきます。
- 骨盤を立て背骨をまっすぐに伸ばし、息を吐きながら右にねじります。
- やさしいねじりを感じながら、深い呼吸をします。5~10呼吸キープしましょう。
- 反対側も同様に行ないます。
背中にも呼吸を入れる“パシュチモッターナーサナ”
【やり方】
- 両脚を伸ばし足首を90度に曲げて座ります。
- 骨盤を立て背骨をまっすぐに伸ばします。
- 息を吐きながら両手を前に歩かせて前屈します。おなかを太ももに近づけるように倒しましょう。
- 太ももの裏に気持ちの良いストレッチを感じたら、首の後ろの力を抜きます。
- 5~10呼吸キープしましょう。
股関節を解放し胸を開く“スプタ・バッダコナーサナ”
【やり方】
- 仰向けになり、膝を立てます。
- 足の裏をくっつけて、膝を横に開きます。このとき脚の付け根をリラックスさせます。(太ももの内側の力が抜けない人は、下の写真のようにブロックやタオルを挟んで膝を支えます)
- 頭上で肘同士を持ち、腕をリラックスさせて床に下ろします。
- 1分ほどキープしましょう。
腰とおしりをゆるめる“エーカ・パーダ・アパーナーサナ”
【やり方】
- 仰向けになり、両足を閉じます。
- 右膝を引き寄せ両手で持ちます。
- 息を吸って膝を胸から少し遠ざけ、息を吐いて膝を胸にまっすぐ引き寄せます。
- 3.の動きを5~10回繰り返します。
- 反対側も同様に行ないます。
胸をひらき背中を解放する“ジャタラ・パリヴァルタナーサナ”
【やり方】
- 仰向けになり、膝を立て両足を閉じ、両手を横に広げます。
- 股関節と膝を90度に曲げ、足を床から持ち上げます。
- 膝を左に倒します。気持ちが良ければ左手を左膝に添えましょう。
- 息を吐くときに、右の肩と背中をリラックスさせて脱力します。
- 5~10呼吸キープしましょう。
- 反対側も同様に行ないます。
完全なリラックス“シャバーサナ”
【やり方】
- 仰向けで寝ます。
- 両足は骨盤幅より広くし、脇の下には卵がひとつ入るスペースを空け、手のひらは上向きにします。
- 背中とおしりの皮膚にヨレやつっぱりがあれば解放します。
- 目を閉じ、顎の関節をゆるめます。
- 顔と頭をやわらかく保ち、足の付け根と肩の付け根を解放します。
- 10分ほどキープしましょう。このまま寝てしまっても構いません。
紹介した6つのポーズを動画で解説
ここまでで紹介した6つのポーズを、動画で解説しています。寝落ちしてしまうこともあると思いますので、パジャマに着替えて電気を消し、ベッドの上で行なうのがオススメです。
リラックスし、「眠らなければ」という考えを手放す
「眠りたいのに眠れない、明日も早いのにどうしよう」と考えれば考えるほど、余計頭の中は忙しくなります。まずは、「眠らなければいけない」という考えを手放しましょう。活性化した脳や神経を落ち着かせていくには、少し時間がかかるもの。電気のオンオフのスイッチのように、すぐには切り替わりません。焦らずひとつずつ外的環境と自分を整えていくのです。
たとえば寝る前はテレビやスマホを極力見ない、暗めの照明に切り替えたりキャンドルの光にする、お気に入りのアロマや音楽をかけるのも効果的です。環境を整えたら、紹介した中からお気に入りの呼吸法やポーズを行なってみてください。これらを行なってリラックスしているのに眠れないときは、焦らずに横になっているだけでも大丈夫。眠れなかったとしても、10分のシャバーサナには数時間の睡眠と同じリラックス効果があるといわれています。
ヨガと呼吸法を取り入れて質の高い睡眠をとり、豊かな毎日を過ごしていきましょう。