ヨガ解剖学は指導する上で必要?学ぶことで得られるメリットと注意点

ヨガインストラクターの国際資格RYTの講座でも必ず学ぶ解剖学。初めて聞く専門用語に翻弄され、苦手意識がある人も多いと思います。私も最初は苦手だったのですが、何年もかけて学びを深めていくにつれ、だんだんと指導に活かせるようになっていきました。

この記事では、解剖学を学んだ私が指導の現場でリアルに感じたメリットと、学んだからこそ陥った注意すべき偏った考えについてまとめていきたいと思います。

解剖学には色々な分野がある

解剖学を勉強する女性

解剖学には多くの分野があるのですが、想像しやすいのは筋骨格系ではないでしょうか?筋骨格系とは文字通り、骨や筋肉の構造や働きを扱う分野です。しかし体は骨と筋肉だけでできているわけではありません。アーサナや呼吸法を通して内臓や神経系、内分泌系などにも作用するため、それらに関する知識も必要になります。

しかし一度に学ぶのは難しいので、アーサナの指導に直結する筋骨格系の学びから始めるのが良いでしょう。まずは、骨組みと骨を動かす筋肉を知り“体の地図”を手に入れて、どこに何があるかを理解します。そうすれば、体を動かすときに何をどう動かすのか具体的にイメージすることができるようになります。この具体的なイメージを持てるか持てないかは、自分の練習にも指導にも大きな差となって表れます。

ヨガ解剖学を学ぶメリット

ヨガ解剖学を学んだからこそ感じられたメリットを具体的に紹介していきます。

怪我をしない、させない

怪我をしたぬいぐるみ

体の構造を理解してアーサナの練習をすれば、まず自分が怪我をせずに済みます。練習中に痛みを感じる動きがあったとき、なぜ痛むのか、どうすれば痛みが軽減できるのかを推測することができるようになります。このように実際に自分の体を動かして様々な経験をすることにより、結果的に生徒さんにも怪我をさせない指導ができるようになっていくのです。

また、怪我ではないけど慢性的な痛みを持つ生徒さんが来たとき、落ち着いて対処することができます。ヨガインストラクターは医者ではないので診断はできませんが、解剖学の知識を使ってどんな動きで痛みが出るのか、関節や筋肉がどういう状態になっているのかを想像し、痛みが軽減される方法を一緒に考えていくことができます。

苦手なポーズの原因を推測できる

マンツーマンのヨガ指導

解剖学の知識があれば、苦手なポーズがなぜできないのか、どうしたらもっと快適になるのかを推測することができます

たとえば後屈が苦手な場合、解剖学を知らないと正しいアライメントに近づけるように「もっと胸を開いて!反って!」と可動域を超えるような指導になりがちですが、解剖学の知識があれば「肩が開かなくて苦しそうだから、〇〇筋を少しほぐしてからやってみよう」のように、苦手だと感じる原因を推測し、対処法も考えることができるのです。

指導が明確になる

ヨガレッスンの様子

先ほど解剖学を学ぶことは“体の地図”を手に入れることだと書きました。体のどこにどんな骨があり、その骨についているのはどの筋肉かがわかってくると、ヨガの指導が明確になります

たとえば「手を上にあげる」という指示は誰にでも伝わるシンプルな指示ですが、この指示では色んな上げ方をする人がいると思います。しかし解剖学の知識を活かして「肩甲骨から指先を遠ざけ、腕を横から回し上げて」という指示だと、同じポイントに気をつけながら全員同じ動きをするでしょう。

また、ポーズを見ただけで体の中で骨格がどのようになっているかが想像でき、意識を向ければ変化を起こせそうな部分と、現時点ではすぐに変化を起こすのが難しそうなところがわかるようになってきます

解剖学的な視点を取り入れるときの注意点

ここまで紹介してきたように、私はヨガ解剖学を学ぶことでたくさんのメリットがあると感じられました。しかし同時に、学んだからこそ気をつけなければならないこともあると思います。ここでは私が実際にはまってしまった罠、極端な考えを紹介します。解剖学を学ぶと全員がこうなるわけではもちろんありませんが、偏った考えを知っておくことで、いつでも自分の考えをフラットに保つきっかけにしてください。

肉体的な視点だけで生徒を見てしまう

体のパーツ

解剖学的な視点からヨガの指導をしていると、姿勢や体の癖のパターンがわかってきます。個々を細かく見るともちろん同じ体は存在しないのですが、特徴によって大まかにパターンを分けることができるため、同じパターンを持つ人には同じ指導をしがちになります。

しかし、人間は筋骨格だけでできているものではありません。心があるので、その日の気分や疲れ具合、前向きさ加減などから、体も大きく影響を受けています。

そのことを忘れずに、解剖学的な物質視点だけでなく、目に見えないエネルギー的な視点でも生徒さんを見るようにしましょう

ポーズに執着しないように注意する

逆立ちのヨガポーズ

解剖学的な視点でポーズを見られるようになると、「〇〇筋をもう少し鍛えればこのポーズができそう」とか「〇〇筋の柔軟性が上がらないとこのポーズは難しそう」などがわかってきます。

その結果、目標のポーズができるようになるための練習方法を考え始めます。そのこと自体は悪いことではありませんが、過度にそのポーズに執着してその練習ばかりを繰り返すと、本来バランスを整えるためのヨガの練習が、バランスを崩すものになりかねません

特にインストラクターはレッスン中、言葉の端々に自分のヨガの捉え方が表れます。解剖学的な視点に特化しすぎると、そのポーズができるか、できないかというジャッジを生徒の中に生む可能性があることを忘れないようにしましょう。ヨガのポーズは、自分を整えるためのツールです。そのポーズに振り回されないように注意が必要です。

解剖学を知らなくてもヨガはできることを忘れない

ヨガで内観する女性

解剖学を学び始めた頃、解剖学を知らずにヨガの指導をするのは、いけないことのように感じてしまったことがありました。

もちろん先述したように解剖学を学ぶことのメリットはたくさんありますが、解剖学を知らないとヨガができないわけではありません。本質的には、骨や筋肉のことを知らなくても、自分の体に意識を向けてゆっくりと呼吸しながら体を動かせば、それはアーサナの実践です。

安全な体の扱い方をお伝えするのもインストラクターの大切な役割のひとつですが、“今この瞬間に集中する”という体験もとても大切な側面であることを忘れないようにしましょう。

ヨガ解剖学をどう活かせばいい?

集中力

解剖学に限らず、どんな知識もそれをズームして自分の視界いっぱいをそれにして見るか、少しズームアウトして視界の一部でそれを見ながら違うものも視界に入れるかによって、見え方は大きく変わります。解剖学の知識をどう見てどう活用するかは、自分次第です。

とはいえ、そんな結論だと少し乱暴すぎるので、現時点での私の解剖学の活かし方をお伝えします(“現時点での”と書いたのは、今後新たなことを学んだり経験したりして変化することもあるかもしれないからです)。私は解剖学の知識を主に「集中力を保つためにより的確な指示を出す」ことで活用しています。

レッスン中に集中力を保つことの重要性は、コロナ禍によってオンラインヨガが普及したことで一気に表面化しました。オンラインは対面よりも受講者の集中力を保つのが難しいです。

ヨガのレッスンにおいて、「背骨を伸ばす」、「足を上げる」などのシンプルな表現は誰にでも伝わるとても明確な指示ですが、そのような指示ばかりだと生徒の集中が途切れてしまうことがよくあります。しかし解剖学を学んでいれば、より細やかで的確な指示を出すことができ、その指示を追いかけながらポーズをとることで、生徒は自然と集中を保つことができるのです。たとえば「背骨を伸ばして」というよりも「頭蓋骨の後ろ側を上に、尾骨を下に引っぱります」といった方が、体の中をより微細に動かそうとするので集中力がぐっと深まりますよね。

 

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