ヨガ数秘学(数秘術)とは、生年月日を使って自分の持っている性質を理解するためのツールのひとつです。
毎朝の情報番組でも扱われるほどメジャーな占星術は、生まれたときの星の配置に意味を見出すものですが、ヨガ数秘学は、生まれた日の数字に意味を見出すものです。すべての生物は生まれる日を選んでいて、その日に何らかの意味があると考えます。数学は古代から世界中で探求されてきた学問のひとつですが、その数字を使って、今まで多くの自然の法則が発見されてきました。世の中の原理・原則を表す“数字“には、奥深い意味があると思いませんか?
そんな数字を使った“ヨガ数秘学”とは一体どんなものなのかを、この記事では丁寧に解説していきます。
この記事の目次
ヨガ数秘学の歴史
ヨガ数秘は、クンダリーニヨガの創始者であるヨギ・バジャン先生(1929)が使っていたシステムがはじまりで、クンダリーニヨガの“11のエネルギーボディ”という概念と、ヨガ数秘で使う1~11の数字がリンクしています。
このシステムを学び、そこにご自身の学びと経験を取り込んでよりシンプルに再構築したシステムが、タイラー・モンガン先生考案の“ホオロカヒ数秘学”です。現在日本で「ヨガ数秘学」とよばれているのは、このタイラー先生のホオロカヒ数秘学を指すことがほとんどで、私はタイラー先生から直接これを学びました。
ホオロカヒとはハワイ語で、Ho’o Lokahiと書きます。タイラー先生は、「Lokahiにはpeace(平穏)、whole(全体)、unified(統合された)などの意味がある」と教えてくれました(ピッタリ当てはまる英単語や日本語はないようです)。ホオロカヒ数秘学とは、人生全体を統合されたひと繋がりのものとして平穏に見て、過去に見落としているものはないか、未来をどんな風に描くことができるのかを、数字を通して読み解いていくものです。
厳密にいうとこれから解説していくのはホオロカヒ数秘学ですが、この記事ではより一般的な“ヨガ数秘学“という言葉を使って解説していくことにします。
ヨガ数秘学では“チャート”を使う
ヨガ数秘学の大きな特徴のひとつは、チャートを使うことです。
数秘というと、生年月日を西暦からすべて足し、一桁になるまで足し続けて“運命数”を算出する方法が一般的だと思います。ヨガ数秘でもこの運命数のように生年月日をすべて足して出た数字も使うのですが、この数字だけを見るということは、人生の最終的な到達点だけを見るようなものです。
もちろんそれを知ることも自分の理解に役立ちますが、そこに向かうまでにどんな道のりを辿っていくのかもとても大切なポイントですよね。先ほど「ヨガ数秘は人生全体をひと繋がりのものとして見る」と説明しましたが、チャートはまさに過去から未来までの縮図なのです。チャートのリーディングがヨガ数秘の基本的な手法となりますが、イヤーナンバーというライフサイクルを表す数字を使ってさらに深くリーディングをしていくことも可能です。これは応用編なので別の記事で紹介しますね(イヤーナンバーに関する記事はこちら)。
それではさっそく、リーディングの基本となるチャートと各ポジションが表す意味を紹介します。左の列から右に向かって説明していきます。
- Projection/投影・・・他人が自分をどう見るか、第一印象
- Core/中心・・・少しコミュニケーションをとると出てくる部分、第二印象
- Soul/魂・・・本来の自分、魂
- Lesson/学び・・・人生で学ばなければならない課題
- Foundation/土台・・・困難を乗り越えるときに助けになるもの
- Gift/授かりもの・・・生まれ持った才能
- Past/過去・・・過去世から培われた才能
- Asset/資産・・・GiftとPastを同時に使うことで花開く才能
- Purpose/目的・・・人生の目的、生まれてきた意味
チャートの計算方法
ではさっそく、生年月日を使って計算をし、自分のチャートを完成させてみましょう。
ヨガ数秘学では1~11までの数字を使います。12以上の数字は、十の位と一の位を足して11以下の数字になるまでそれを繰り返します。たとえば12月生まれの人は1+2=3となり、28日生まれの人は2+8=10となります。
例を交えながら説明していくので、一緒にやってみましょう。
(例)1978年12月28日生まれの場合
- 学びのポジションに、生まれ月を記入する(12→1+2=3)
- 魂のポジションに、生まれ日を記入する(28→2+8=10)
- 土台のポジションに、魂+学びを記入する(10+3=13→1+3=4)
- 授かりもののポジションに、西暦の下二桁を足した数を記入する(7+8=15→1+5=6)
- 過去のポジションに、西暦の四桁すべて足した数を記入する(1+9+7+8=25→2+5=7)
- 資産のポジションに、授かりもの+過去を記入する(6+7=13→1+3=4)
- 投影のポジションに、授かりもの+魂を記入する(6+10=16→1+6=7)
- 中心のポジションに、過去+学びを記入する(7+3=10)
- 目的のポジションに、生年月日の数字の合計を記入する(1+9+7+8+1+2+2+8=38→3+8=11)
(例)の人のチャートは、このようになります。
チャートは自分だけのオリジナルなものです。2つ以上持っている数字があったり、まったく出てこない数字があったり。そして同じ数字でも入っているポジションによって表す意味が変わってくるのです。
数字の意味
チャートの読み解きには、もちろん練習と経験が必要ですが、せっかく作ったチャートの意味を知りたいですよね。ここからは、それぞれの数字の持つ意味をちょっとだけ解説していきます。
数字の意味はひとことで表せるようなものではありませんが、まずは敢えて短いキーワードから、ざっくりとした数字のイメージを作ってみてください。数字の意味を理解していく上で非常に大切なのは、何ごとにも陰陽、表と裏があるように、数字にもバランスがあるということ。数字のざっくりとしたイメージを作れたら、それぞれのプラス面とマイナス面も、一緒に見てみましょう。
『1』Seed&Soul(シード&ソウル)
【キーワード】
種、魂、はじまり、可能性、ひとりの世界、意思の強さ、頑固
1は“はじまり”の数字。どんな風に成長するかわからない可能性を持った“種”です。
- プラス面
やり遂げる意志力、物事を始める行動力や勇気 - マイナス面
融通が利かない、ワガママ、不安や自信のなさ
『2』Negative Mind(ネガティブマインド)
【キーワード】
パートナーシップ、ペア、2番手、リスク管理が得意、完璧でないという感覚、満たされなさ
2は陰陽の“陰”の数字。1の“自分”だけだった世界から、2になって“自分と他人”という概念ができ、半分、片割れを探し何かとペアになってひとつになりたいという満たされなさを表します。
- プラス面
ソウルメイトを見つけられれば素晴らしいパートナーシップを築ける、サポート上手 - マイナス面
他人との境目がなくなるほど依存する、もしくは繋がりを持ちたいのに持てない、不安が高まったり慎重になり過ぎる
『3』Positive Mind(ポジティブマインド)
【キーワード】
自由、好奇心、楽しい、みんなで一緒に、こどものような、動きのある、創造性、川、風
3は陰陽の“陽”の数字。2の“自分と他人”という概念から、3になって“他にもたくさん、色んな人がいるんだ!”と世界が広がった状態を表します。
- プラス面
好奇心旺盛でクリエイティブ、ムードメーカーのような明るさ - マイナス面
どんどん興味が移り長続きしない、やり遂げることが難しい
『4』Neutral Mind(ニュートラルマインド)
【キーワード】
公平、平等、客観的視点、冷静、バランスの取れた、システム、構築する、真面目な、きっちりとした、瞑想
4は陰陽の真ん中“ニュートラル”の数字。まさにヨガのマインドです。3で広がった世界を、4は俯瞰して全体を見てバランスを取る数字です。
- プラス面
客観的に物事を捉えられる、計画やルールに沿って進める、何かを組み立てたりシステムを構築する - マイナス面
遊びがない、マイルールが多く厳しい
『5』Physical Body(フィジカルボディ)
【キーワード】
肉体、体験、体感、五感を使う、(体験を)教える、教師
5は“肉体”の数字。4で全体を見て自分の立ち位置を把握したら、5ではいよいよ自分の肉体を使って色んなことを体験していきます。
- プラス面
やり方を変えながら何度もチャレンジする、前向きさと行動力、着実に進化していく力 - マイナス面
限度を超えて動きすぎたり休むことが苦手、逆に怠惰になり過ぎるなどバランスが乱れる
『6』Heart(ハート)
【キーワード】
心、感情、気持ち、家族、家庭、美、健康、自然、癒し
6は“ハート“の数字。5で肉体を使って経験をしたら、6はその経験によって楽しかった、大変だった、傷ついたなど、何かしらの感情が湧いてきます。
- プラス面
感受性豊か、共感性が高い、一緒にいるだけで癒される - マイナス面
感情的になり過ぎる、敏感で傷つきやすい、思考より気持ちを優先させるので論理的な説明が苦手
『7』Aura(オーラ)
【キーワード】
オーラ、雰囲気、声、コミュニケーション、発信、境界線、壁、安全性
7は“オーラ”の数字。6のハートで感じたことを、7はオーラを通して周りに伝えていきます。オーラとは自分が発している雰囲気のようなものと捉えるとわかりやすいでしょう。
- プラス面
存在感がある、コミュニケーション能力が高い、自分の気持ちを発信するのが上手、表現力が高い - マイナス面
自分の感情がわからなくなるとうまく伝えられない、発信することへの苦手意識や不安、他人との境界をはっきりと持つか、近づきすぎてしまう
『8』Prana(プラーナ)
【キーワード】
エネルギー、パワー、尽きることのない資源、権力、お金、リーダーシップ、父親(父性)、組織長、怒り、火山、呼吸、循環
8は“エネルギー”の数字。プラーナ(prana)とはサンスクリット語で、生命エネルギーのことを指します。8は尽きることのない湧き出すエネルギーを表し、他の数字の意味を増大させるブースターのような役割があります。また、自分のなりたい姿に向かって尽きることのない豊富なエネルギーを使い、目標達成に邁進する勇ましい数字。
- プラス面
たくさん働けるタフさ、人や組織を率いていく統率力、自分だけでなくみんなで成功するために自分のリソースを循環させられる - マイナス面
うまく循環していないとエネルギーが余ってイライラしやすい、独裁者、ワンマンになりやすい
『9』Subtle Body(サトルボディ)
【キーワード】
極める、達人、突き詰める、知りたがり、頭の回転が速い、完成させる、終わらせる、死、手放し
9は“終わり”の数字。サトルボディ(subtle body)のsubtleとは、繊細、精緻という意味で、つまり肉体ではない繊細なもの、ここでは主に思考、マインドという意味で使われます。8は目標達成に向かって邁進する数字、次の9は、それを完成させ終わらせる、そして手放すことを意味します。
- プラス面
なにかひとつのことを極める、その道のプロフェッショナルになる、知的好奇心が旺盛で学ぶのが好き、理解力が高い - マイナス面
色々なものに興味が湧きどれも極められない、執着し手放しがうまくできない、物事を終わらせることができない
『10』Radiant(ラディアント)
【キーワード】
ダイヤモンド、憧れ、カリスマ、磨き上げた自分の魅力で輝く、放射状の光、人々を照らす、母親(母性)、太陽
10は“みんなを照らす放射状の光“の数字。ラディアント(Radiant)は輝く、まぶしい、燦爛たるという意味があります。9でひとつのことを極めて達人の域まで辿り着き、終わりを迎えました。その次の10は、極めたこと、磨き上げられたもので人々を魅了したり、お手本になったりする数字です。
- プラス面
自分の信じた道を進む、自分の極めた分野でカリスマになる、人々の進むべき方向をリードする光(リーダー)として輝き続ける - マイナス面
自信がなくなり注目されることに不安を感じたり、前に出ることが嫌になる
『11』Spiritual(スピリチュアル)
【キーワード】
宇宙、真理、神、宿命、大いなるものとの繋がり、物理的なものを超えた、委ねる
11は“スピリチュアル”の数字。物理的なものを超えた、目に見えないものを表します。10は放射状の光で世界を照らし、みんなの手本となるようなカリスマでした。11はそこからさらに進み、物理的なものを超えた大いなるものと繋がり、「安心して委ねれば導かれる」と不安なく思える状態です。
- プラス面
根拠のない自信や直感でうまくいく、自分の活かし方をマスターできる、スピリチュアルな流れに身を任せられる - マイナス面
スピリチュアルに傾倒しすぎたり、目に見えないものは信じないという極端な概念に陥る
チャートを実際に読んでみよう
チャートの各ポジションの意味と、そこに入る数字の計算ができたら、ここまで解説してきた数字の意味を使ってチャートを読み解いてみましょう。最初に作った(例)の人のチャートを、実際に少しだけ読んでみます。
このチャートの真ん中の“学び”のポジションには『3』が入っています。学びは『人生で学ばなければならない課題』を表し、それが『3』ということです。3は陰陽の“陽”、ポジティブマインドの数字でしたね。つまりこの人の取り組む課題は、陽のエネルギーの使い方と読むことができます。さらに3のキーワードを使ってもっと具体的に解釈を広げていき、たとえば、みんなでする共同作業が苦手、ポジティブに考えるのが苦手、好奇心旺盛ですぐに目移りし何かをやり遂げるのが苦手…などと学びを読み取っていくのです。
もうひとつ、“学び”の下にある“土台”のポジションを読んでみましょう。ここには『4』が入っています。土台は『困難を乗り越えるときに助けになるもの』を表し、それが『4』ということ。4は“ニュートラル“の数字なので、この人は困難にぶつかった時に、冷静さが助けになると読むことができます。さらに4のキーワードを使って解釈を広げると、たとえば、真面目にコツコツやり続けること、忖度や贔屓をせずに公平な目線で物事を捉えること、ニュートラルを保つために日常的に瞑想を取り入れることなどが、この人が困難を乗り越える助けになる…などと読むと、土台を整えるアドバイスが見えてきます。
まずはひとつひとつのポジションを丁寧に読み進めることがベースとなり、そこからチャート全体を俯瞰したり、隣合う数字同士の関わりをリーディングしながら、その人の全体像を見ていくのです。
ヨガ数秘学を使って自分のことを知ろう!
自分のチャートにある数字に「馴染みがある」と感じた人も、「自分にこんな性質あるかな?」と違和感を感じた人もいるのではないでしょうか?
自分のチャートにある数字は、無理しなくても自然と活用できる質です。チャートにない数字の質は使えないわけではなく、もちろん練習すれば使えるようにもなります。また、練習で修得する以外にも自分の持っていない数字を感じる方法はあるのです。
この記事はヨガ数秘学の入門のような内容なので多くは触れられませんでしたが、実はチャートにはもっともっとたくさんの情報が詰まっています。
ここまで紹介してきたように、ヨガ数秘学とは生年月日を使って自分オリジナルのチャートを作り、チャートの各ポジションに入った数字の意味を読み解きながら、自分の性質を客観的に見ていくひとつのツールです。アーサナ(ポーズ)やプラーナーヤーマ(調気法)を使ったヨガの練習で自分を知ることも、ヨガ数秘学を使って自分を知ることも、同じヨガのプラクティスだと私は捉えています。
チャートの活用方法、もっと個別の具体的な話やアドバイスを聞いてみたい人は、ヨガ数秘学のセッションのページも見てみてくださいね。